デジタルトランスフォーメーション、通称DX。近年、この言葉は頻繁に耳にするものとなりました。しかし、「DXを推進する意義があいまい」「具体的なイメージが掴めていない」といった企業が多く見られます。経済産業省ではDX(デジタルトランスフォーメーション)を以下のように定義しています。“企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること”引用:デジタルガバナンス・コード2.0このことを踏まえて、DXの推進が中小企業にもたらす具体的なメリットを見ていきましょう。目次業務効率化と生産性の向上DX推進のメリットのひとつは、業務効率化です。中小企業では、手作業や紙ベースの作業が多く、時間と労力を大量に消費します。しかし、これらの製造プロセスやアナログ作業をデジタル化することで、手間と時間を大幅に削減できます。例えば、一枚ずつ手書きで作成していた書類を印刷して管理していた業務をデジタル化することで、工数の短縮や紙の費用削減が実現できるかもしれません。新規事業の創出とビジネスモデルの変革上記のように、アナログ業務をデジタル化することで様々なデータが蓄積されていきます。蓄積されたデータを分析・利活用することで、新規事業の創出=ビジネスモデルを変革して競争優位性を獲得することが可能になるわけです。顧客体験の向上データの利活用は自社だけでなく“顧客起点の価値創出”、つまり顧客体験を大幅に向上させることができます。ECサイトの最適化やSNSを活用したマーケティングやコミュニケーションなど、顧客のニーズに応じたサービスを提供することができるようになります。これにより、顧客体験や顧客満足度が向上し、ブランドロイヤリティを獲得することが可能になります。従業員のモチベーション向上DX化は業務効率化だけではなく、従業員の働き方を大きく変える可能性を秘めています。例えば、クラウドツールの導入によって労働時間の柔軟化や業務の効率化を実現することで、創造的な業務に取り組む時間が生まれ、新たなビジネスや企業価値創出の可能性を秘めています。また、自由度の高い働き方は従業員のQOL向上に大きく貢献します。6つの成功ポイント経済産業省が公開したデジタルガバナンス・コード 実践の手引きには、DX推進を成功させるためのチームビルディングや企業風土の変革、ビジョンの策定など6つのポイントが記載されています。「6.伴走支援の重要性と効果的な支援のポイント」では、専門家や地域ITベンダーの協力を仰ぐことがDX化の成功ポイントと述べられています。気づき・きっかけと経営者のリーダーシップ中堅・中小企業のDXにおいて、経営者のリーダーシップは大きな役割を果たす。まずは身近なところから身近な業務のデジタル化や既存データの収集・活用から始める。外部の視点、デジタル人材の確保デジタル技術を経営に活用するためには専門的な知見が必要なため、外部の人材の力を活用しながら不足するスキルやノウハウを補う。DXのプロセスを通じたビジネスモデル・組織文化の変革データやデジタル技術の活用を進める中で、ビジネスモデルや組織文化を変革し、組織全体を変革に強い体質に変える。中長期的な取組の推進5年後・10年後のビジョン実現に向けて戦略的に投資を行い、地道な試行錯誤を重ねる覚悟が重要。伴走支援の重要性と効果的な支援のポイント伴走支援者が外部の視点から経営者と対話を行うことで、経営者自身がパーパスや経営ビジョンを明確にし、自己変革力を高める。参考記事:DXの推進に地域ITベンダーの伴走支援が必要とされる理由とはDX化を成功に導くためのパートナー成功ポイントのすべてを自社で遂行するには、経験と知識、折衝力を有した人的リソースが必要です。しかし、多くの中小企業では人的リソース不足が大きな課題となっています。また、自社だけでDX化を目指した場合、「盲目的に最新技術を導入してしまう」「各部署の関係性や人間関係により意思統一が困難」「経営層と従業員の温度差」などの壁もたちはだかるでしょう。6つの成功ポイントの「6.伴走支援の重要性と効果的な支援のポイント」にあるように、外部の視点を積極的に活用する、つまり、伴走しながら支援できるベンダーと二人三脚でDXを推進してくことが成功の近道と言えます。「コンサルティングだけ」「ツールの導入だけ」に終わらない、外部の視点から経営層と対話ができてビジネス戦略の立案やデジタル化、DX化に向けた最適解の提案ができるパートナー=伴走支援ベンダーが必要であり、特に地方の企業においては、地域のビジネス特性を熟知した地域ベンダーの伴走支援が望ましいとされています。参考記事:中小企業のDX化が進まない4つの主要な要因とはまとめDX化を成功させるためには、戦略的なアプローチと継続的な努力が求められます。伴走支援ベンダーとの協働により、中小企業におけるDX化の障壁を乗り越え未来を見据えた上での直近の課題改善を繰り返すことで、「新たな価値の創造」や、「持続可能な成長」を達成することで、将来に向けた競争優位性を確立することが可能となります。