経済産業省が策定した「デジタルガバナンス・コード3.0~DX経営による企業価値向上に向けて~」の中核をなす「DX経営に求められる3つの視点・5つの柱」について、詳しく解説していきます。目次引用:デジタルガバナンス・コード3.0~DX経営による企業価値向上に向けて~DX経営に求められる3つの視点デジタルガバナンス・コード3.0では、企業がDX経営を実行し、企業価値向上を実現するために、以下の3つの視点を常に意識することが重要であるとされています。1.経営ビジョンとDX戦略の連動DXは、単なるITシステムの導入や業務効率化にとどまらず、企業のビジョンを実現するための戦略的なツールと捉えるべきです。経営ビジョンとDX戦略を有機的に連携させることで、デジタル技術の潜在能力を最大限に引き出し、持続的な成長と企業価値の向上を実現できます。具体的には、経営陣が主導的な役割を果たし、経営ビジョンとの整合性を常に意識しながら、デジタル技術を活用した具体的なアクションプランとKPI(重要業績評価指標)を策定することが重要です。2.As is - To be ギャップの定量把握・見直し現状分析(As is)を行い、目指すべき将来像(To be)を明確に定義した上で、両者のギャップを定量的に把握しましょう。KPIなどを活用し、現状との差異を数値化することで、課題やボトルネックが明確になり、より効果的なDX戦略の立案と実行が可能になります。また、このギャップ分析は一度行えば終わりではなく、定期的に見直しを行い、DX戦略が常に最適化されている状態を保つことが重要です。3.企業文化への定着DXの成功には、テクノロジーだけでなく、それを支える人材や組織文化が重要となります。社員一人ひとりがDXの意義を理解し、積極的に変化を受け入れるような企業文化を醸成していくことが、持続的なDX推進の鍵となります。DX戦略を策定する段階から、目指すべき企業文化を明確化し、その実現に向けて継続的な意識改革や行動変容を促進していくことが大切です。DX経営に求められる5つの柱上記の3つの視点を基盤として、企業は下記の5つの柱に沿って具体的なアクションを実行していくことが求められます。1.経営ビジョン・ビジネスモデルの策定データ活用やデジタル技術の進化がもたらす影響(リスクと機会)を分析し、自社にとってのDXの意義を明確にした上で、将来の経営ビジョンとそれを実現するためのビジネスモデルを策定します。既存ビジネスモデルの強みと弱みを分析し、DX戦略を通じてどのように強化・改善していくのかを明確化することが重要です。また、企業間連携やオープンイノベーションなど、外部との連携も視野に入れたビジネスモデルの構築が求められます。2.DX戦略の策定策定したビジネスモデルを実現するために、具体的なDX戦略を策定します。経営陣自らが主体的に検討し、データに基づいた意思決定を行うことを前提に、既存ビジネスの変革、新規ビジネスの創出、業務プロセス改革など、目指す方向性と具体的なアクションプランを明確化することが重要です。また、データ連携やデータガバナンスに関する法令遵守など、DX推進における責任あるデータ活用も重要な要素となります。3.DX戦略の推進策定したDX戦略を実行に移す段階です。組織体制の整備、デジタル人材の育成・確保、ITシステムとサイバーセキュリティ対策の強化など、多岐にわたる取り組みが必要です。組織づくり全社を巻き込んだDX推進をリードするための専門組織を構築し、明確な役割と責任を付与します。事業部門との連携強化、外部アドバイザーやスタートアップ企業との協業など、オープンイノベーションを促進する体制づくりも重要です。デジタル人材の育成・確保DXを推進するための人材戦略を策定し、デジタルスキル標準などを活用して、必要なスキルを明確化し、社員のスキル可視化を進めます。経営者を含めた役員・管理職の意識改革、社員のリスキリングやリカレント教育、自律的なキャリア形成支援などを通じて、デジタル人材の育成・確保を推進します。ITシステム・サイバーセキュリティDX戦略を支えるITシステムの構築・運用を行います。レガシーシステムの解消、最新技術との連携、セキュリティ対策の強化などを推進します。特に、サイバーセキュリティリスクについては、経営リスクの一つとして捉え、CISO等の責任者任命、体制構築、リソース確保、第三者監査の実施など、適切な対策を講じることが重要です。参考記事:DXを成功に導くチームビルディング戦略4.成果指標の設定・DX戦略の見直しDX戦略の進捗状況や成果を測定するためのKPIを設定し、定期的に評価・分析を行います。その結果に基づいて、必要があればDX戦略を柔軟に見直し、改善を加えることで、より効果的・効率的なDX推進を実現します。経営者は、事業部門やITシステム部門等と連携し、KPIの達成状況をモニタリングするとともに、デジタル技術の動向や自社のITシステムの現状を踏まえた課題を把握し、DX戦略に反映させることが求められます。5.ステークホルダーとの対話DX戦略の策定・実行・評価のプロセスにおいて、投資家をはじめとするステークホルダーに対して、経営ビジョン、ビジネスモデル、DX戦略、KPI、成果などを「価値創造ストーリー」として分かりやすく説明し、積極的に対話を行うことが重要です。ステークホルダーからのフィードバックを経営に反映させることで、企業価値向上につなげることが期待できます。具体的には、経営方針・経営計画、メディア、統合報告書等を通じて、ステークホルダーに対して積極的に情報発信を行うことが求められます。デジタルガバナンス・コード3.0は、企業がDXを推進する上での羅針盤となるものです。企業は、この「3つの視点・5つの柱」を踏まえ、自社の状況に合わせてDXを推進していくことが重要です。growvisionの伴走支援DX化の取り組みは一度きりのプロジェクトではなく、段階を追って実現していく継続的な取り組みです。growvisionのDX推進伴走支援サービスは、プロジェクトの実施だけでなく、従業員のデジタルスキル向上のための教育や運用支援、短期・中期・長期とフェーズ毎の経営戦略におけるビジョン策定まで伴走することで、持続可能なDX推進体制を確立できます。