デジタルトランスフォーメーション(DX)推進する企業が増え、業務のデジタル化が急速に進んでおり、2024年1月に完全義務化となった電子帳簿保存法への対応も、その一環として注目されています。本記事では、電子帳簿保存法への対応とDX推進の関係性について詳しく解説し、対応ツールの導入における課題や懸念、さらには導入後に見えてきた課題についても触れていきます。目次電子帳簿保存法すでにご存じの通り、2023年12月末で宥恕(ゆうじょ)措置が終了し、2024年1月からはメールやペーパーレスFAX、インターネット取引などで授受した電子データの請求書、領収書、契約書などにおいては、紙などに出力して保管することが認められず、電子データのまま保存することが義務付けられました。電子帳簿保存法対応とDX推進の関係とは電子帳簿保存法に対応することで法令を順守できることはもちろんですが、DX推進と密接に関連しており、企業のデジタル化やDX化を加速する重要な要素となっています。以下に、その具体的な関係性を解説します。・業務プロセスの効率化電子帳簿保存法により、企業は紙の帳簿や書類を電子化することが可能となりました。これにより、帳簿管理や検索の効率が大幅に向上し、業務プロセス全体がスムーズに進行します。例えば、従来の紙の帳簿を探す手間が省けるため、経理担当者の作業時間が短縮され業務効率化につながります。・コスト削減紙の帳簿や書類の保管には、物理的なスペースや管理コストがかかります。電子化することで、これらのコストを大幅に削減することができます。例えば、大企業では倉庫を借りて紙の帳簿を保管することもありますが、電子化によりその必要がなくなります。削減された予算をDX推進プロジェクトへの投資や、新たな事業展開が可能になるかもしれません。・データ分析と意思決定の迅速化電子帳簿保存法に基づいて社内データがデジタル化されることで、これらを基にしたデータ分析が容易になり、迅速な意思決定が可能となります。デジタル化されたデータは、BIツールやデータ分析ツールを用いてリアルタイム解析も可能なので、ビジネスの現状を迅速に把握し、適切な経営判断を下すために活用することができます。・リスク管理の強化紙の帳簿は紛失や破損のリスクがありますが、電子データであればバックアップを取ることができ管理の強化につながります。また、万が一の際にもデータを復元することが可能です。例えばある中小企業が改正電子帳簿保存法に対応するために電子帳簿システムを導入したとします。この企業では、紙の帳簿管理に多くの時間を割いており、経理担当者が本来の業務に集中できない状態でした。しかし、電子帳簿システムの導入により、帳簿管理が効率化され、経理担当者はデータ分析や業務改善に時間を割くことができるようになりました。結果として、企業全体の業務効率が向上し、経営判断も迅速になりました。ツール導入と運用の課題電子帳簿保存法に対応することで、企業は法令順守以外に業務効率化やコスト削減をはじめとした様々なメリットがあり、つまりこれはDX化を大きく加速させる要素にほかなりません。しかし、電子帳簿保存法に対応するため対応ツールの導入コストや運用費に関する課題、ツールを使うための人材育成の懸念などが存在することも事実です。デジタルデータの管理には、不正アクセスやデータ漏洩を防ぐためのセキュリティ対策も必要になります。また、運用後には以下のような課題が顕在化している企業も少なくないようです。例えば・2023年末、必要に迫られ高機能なツールを導入したが使いこなすことができず、安くない初期費用や運用費に見合った成果が出せていない・電子帳簿システムを導入したが、機能過多で社内での利用が思った通りに進まない、また、電子化するための作業が増加してしまったDX推進を踏まえたツールの選定法令順守はもちろんですが、電子帳簿保存法への対応とDX推進を合わせて考えた場合には、シンプルで使いやすいツールを選択することもポイントです。業務効率化やデータ分析、意思決定の迅速化、限られたリソースの最大活用を主軸に考えた場合には、複雑な機能を持つツールよりも、基本的な機能が使いやすくまとめられ、複雑な操作を必要とせずに業務に落とし込めるツールが適しています。このようなツールであれば、従業員が多くのことを習得することなく業務負担の軽減を実現できるため、スムーズな導入が可能になります。参考:電子帳簿保存法対応クラウドサービス Denho(デンホー)シンプル機能/AI-OCRもタイムスタンプも標準搭載/高セキュリティ改善と最適化を継続業務プロセスのデジタル化は、ツールやシステムを一度導入すれば終わりではなく、従業員からのフィードバックを基に定期的な業務フローの見直しや最適化していくことが大切です。また、ツールやシステムの見直し、時には機能改善要求が必要になってくる場合もあります。例えばこれを自社の経理担当者が行うことは難しいのではないでしょうか。このため、地域ITベンダーの伴走支援サービスや専門家の協力を仰ぐことも検討しておくとよいでしょう。参考記事:DXの推進に地域ITベンダーの伴走支援が必要とされる理由とはまとめ電子帳簿保存法への対応はDXとひとつながりであると考え、法令順守とDX推進施策を一度に実現するつもりで対応していきましょう。対応ツールの導入にはコストや操作性、リソースの確保などの課題が伴います。また、導入後にはデータ漏洩や不正アクセス防止のためのセキュリティ対策が必須となります。また、思わぬところから業務プロセスの破綻が見つかり対応に追われることもあるでしょう。対応ツールの選定を自社だけで行おうとせず、積極的に地域ITベンダーの支援を受けながらDXを推進して企業の競争力を高め、持続的な成長を実現していきましょう。growvisionの伴走支援DX化の取り組みは一度きりのプロジェクトではなく、段階を追って実現していく継続的な取り組みです。growvisionのDX推進伴走支援サービスは、プロジェクトの実施だけでなく、従業員のデジタルスキル向上のための教育や運用支援、短期・中期・長期とフェーズ毎の経営戦略におけるビジョン策定まで伴走することで、持続可能なDX推進体制を確立できます。